<GP西表島会場>
八百万岡「(お互いにハンドは空だが相手の場にはドムリにポルクラノス、それに高木の巨人か・・・。一方こちらの場には地下世界の人脈だけ・・・。ターンを返せば確実に負ける、次のドローで確実に・・・決める!ドロー!!)」ヒュバッ

八百万岡「・・・!!エレボスの鞭をプレイ!!」

木武羅「!!」

八百万岡「即起動で墓地にある灰色商人を釣り上げます、6点ドレイン!!」

木武羅「・・・まさか最後の最後に逆転されるとはね・・・。Good game!」

八百万岡「!!・・・ありがとうございました!!」

八百万岡「(やった・・・あの木武羅 無頼庵(きぶら ぶらいあん)に勝った・・・!今この瞬間、人間力が最高に高まっているのが感じられる。行ける・・・これは『優勝』も夢じゃない!!あと一歩のところにまでたどり着いたぞ!!)」

<ワアアアア

八百万岡「ん?向こうも終わったのか・・・って、え?」

[渡鍋 2-0 夜魔本]

八百万岡「( 夜魔本 くんが負けた!?確か渡鍋さんのデッキとの相性は良かったはず・・・!それが2-0のストレート負けなんて・・・)」

深原「八百万岡さん、お疲れさま~っす」
那珂村「おめでとうございます、ついに決勝戦ですね」

八百万岡「あ・・・ありがとうございます。あの・・・夜魔本くんと渡鍋さんの試合って見てましたか?」

深原「あ、見てましたよ。夜魔本くんの方がデッキ相性的には有利だったんですが、渡鍋さんがそれ以上にドブンしてましてね。3ターン目にゼナゴスからドムリ出してましたよ」
那珂村「あれはイカサマしてると言われてもしょうがない位に酷い動きでしたね」

八百万岡「え?なにそれ怖い」
八百万岡「(確か渡鍋さんは『緑の人間力』使い・・・だったよな)」

『緑の人間力』!!
 それは日常生活で幸運な事が起こると高められる人間力。
運気の上昇は人生を豊かにし、高まる運気とともにこの『緑の人間力』も相乗的に高められていく。
 この『緑の人間力』は他の『人間力』とは違って故意には高めることが出来ないため、上がり幅が大きいこと、人によって上がり方の差が激しいことが特徴である。
例えば「味噌汁の具のあさりの中に小さなカニがいた」、「ふと時計を見たら2:22でにゃんにゃんにゃんだった」という小さなことに幸せを感じる人もいれば、「ガリガリくんが当たった」、「チョコボールで金のエンゼルが当たった」位の大きな幸運でないと幸せを感じられない人もいる。
 また扱いが難しい『人間力』でもあり、某人物が毎日ハッピーとつぶやいて『緑の人間力』を得ようとしていたが、敢え無く失敗に終わっている。

八百万岡「(これは最近人間力を爆発的に高める『何か』が起こったと考えられるな・・・。うん・・・これは本人に直接聞いた方が早いな・・・)」

八百万岡「ちょっと飲み物買ってきますね」

Force of human 最終話 「GP西表島、決勝」

<GP西表島会場・廊下>

渡鍋「みっきまー みっきまー みっきみっきまー♪ 使えば金出せ みっきみっきまう・・・ん?」

八百万岡「あ、渡鍋さん。お疲れ様です」

渡鍋「闇に飲まれよ!なんつってなんつって!おっつおっつ、ヤオち~ん☆彡」

八百万岡「(ウザ)・・・どうしたんですか?やけにテンション高いじゃないですか」

渡鍋「あ、分かる?分かっちゃった?ん~?さっすがヤオちん鋭いゾ☆」

八百万岡「(心底ウザ)何かいい事でもあったんですか?まぁ、決勝までお互いに勝ち残れたのでいい事はもうあったんですが・・・」

渡鍋「それもそうなんだけど、それだけじゃないんだよヤオちん!も~う、ヤオちんはニブちんさんなのです!プンプン!!」

八百万岡「(死ねばいいのに)・・・へ・・・へぇ・・・じゃあもっといい事あったんですか?ちょっと教えて下さいよぉ~」

渡鍋「え~、どーしよっかな~。・・・聞きたい?聞きたいの??じゃあ知りたがりのヤオちんにちょっとだけ教えちゃおっかなぁ~。・・・なんと私・・・最近『彼女』が出来ました!!!いぇい!!」

八百万岡「ガカアッッ」<クルマダトビィイ!!

八百万岡「(な・・・か・・・『彼女』が出来た・・・だと・・・?)」ガクガクガクガク

渡鍋「そうそう、最近水族館デートしてきたんですよ。デートですよ、デ・エ・ト♪その時の写真見たいですか?見たいですよね?見たいに決まってますよね。も~う、ヤオちんは欲張りさんなんだからぁ~。特別にちょっとだけ見・せ・ちゃ・う・ゾ☆」

八百万岡「(全く頼んでないのに・・・ってこれは・・・)」

八百万岡「(うっわブサイク!!)」

八百万岡「(いや・・・そこまでブスってわけじゃ無いんだけど、この100点満点中43点くらいのこの感じ・・・。仮に彼女が超絶美人だったら『あ、これは絶対に騙されてるな』って思えるし、逆にものすごいブサイクだったら『ああ、男だったら誰でも良かったんだな』と思えた・・・。しかしこの中途半端な感じ・・・写真のラブラブ具合も含めて、なんとも言えないのが非常に腹立たしい・・・)」

渡鍋「ね?可愛いっしょ///彼女もアニメ好きで、カードゲームにも興味あるっていうし・・・もう相性ばっちしですよ///////これはもう結婚秒読みかな~って結婚はまだ早すぎるでしょーもーヤオさんのエッチー!!」バンバン

八百万岡「(超絶うぜぇ・・・どう考えてもお前の彼女より、後ろのアザラシの方が可愛いだろうが・・・。ああ、渡鍋さんの浮かれ具合も相まって悲しくなってきた・・・ああ・・・俺独りでこんな遠くにまでカードゲームしに来て・・・何やってんだろう・・・。全国のカップル共め・・・爆発しろ・・・はらわた四散させて惨たらしく爆ぜろ・・・)」


渡鍋「あ、もうこんな時間!じゃあ俺試合前に愛しの彼女にラブコールしてきま~っす」スキップスキップ

八百万岡「(あ・・・行ってしまった。ああ、自分の人間力が流れ出ていくのが分かる・・・。こんなんだったら渡鍋さんと話すんじゃなかった・・・くそぉ・・・リア充対象に仕組まれた疫病おければいいのに・・・リア充根絶しろ・・・。しかしこの下がりきった『人間力』をどうにかしないと、人生においてもMTGにおいても両方で負けてしまうぞ。それだけは避けたい・・・)」

八百万岡「(まず『白の人間力』は・・・期待出来ないな。あれは小さくコツコツと積み重ねていくものだし、今のドブ川みたいなドス黒い心じゃ上がるものも上がらない。産気づいた妊婦さんを助けたとかなら話は別だが・・・そんな人は見当たらないし、おまけに時間もない。)」

八百万岡「(・・・とすれば『黒の人間力』か?ドス黒い感情が支配している今なら相当高いレベルまで上げられる、デッキの色とも噛み合っている・・・!しかし、あと十数分で・・・しかもこの会場内で・・・出来る事があるのだろうか・・・。『黒の人間力』は『背徳』を糧にする人間力・・・!ちょっとやそっとのことじゃ今の渡鍋さんには勝てないし、かと言って大きい事をすれば下手すれば犯罪行為になる。そんな『バレない』で『人に迷惑をかけない』で『短時間』で行えながら『人間力を大幅に上げることが出来る行為』なんてそんなもの・・・あっ!!あった!!最低で最悪の選択だが・・・いや・・・しかし・・・俺にはもう後がないんだ・・・。これがどんなに最悪な選択だったとしても・・・俺は・・・1%でも勝てる可能性が上がるとしたら・・・やる!やってやる!!さぁ、伸るか反るか・・・GP決勝戦、開始だ!!)」ダッ

//////-<WC>-

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那珂村「八百万岡さん、もうすぐ試合始まるっていうのに遅いですね」タッタッタッ
深原「普通にトイレじゃ・・・あ、やっぱり。八百万岡さ~ん」

八百万岡「ああ・・・心配かけさせてしまったね・・・」

那珂村「(ん?なんだか八百万岡さんの様子がおかしいな。とても爽やかで、朗らかな・・・そして全てを悟った賢者ような表情。それに見て感じられる程の溢れんばかりの禍々しい人間力!!まさか・・・)」

八百万岡「・・・人は・・・どうして争うんだろうね・・・」

那珂村「(この人、GPのトイレで抜きやがった!!)」

那珂村「(いや、でもちょっと待て。確か八百万岡さんは『ぶっかけオナニー』派!!不完全燃焼で終わればここまでの人間力は出せない・・・。エロ本を持参しているともスマホにぶっかけたとも考え難いし・・・俺の思い違いかな?でもこの短時間でどうやってここまでの人間力を・・・)」

深原「でもトイレ行くんだったら一言言ってくれればいいのに・・・。荷物持ってましたよ?」

八百万岡「すまないね・・・。でも・・・大切なカードだからどうしても手元に置いておきたくて・・・ね」

深原「あ、そのファイルですか?ちょっと見せてもらえませんか~」
那珂村「いや、もうすぐ試合始まるから・・・」

八百万岡「ちょっとだったら構わないよ・・・ほら・・・」ペラ
深原「おお、素晴らしいフォイル・コレクションですね~。そっちのファイルは?」

八百万岡「こっちはリトルガールの無限回収だよ・・・。なんとなく・・・好きでね・・・」ペラ
深原「へ~」
那珂村「!!」

那珂村「(・・・今、一箇所だけ不自然なファイルの空きがあった!八百万岡さんほどの几帳面なプレイヤーが、途中に空きを作るような雑なカードのしまい方をするはずがない・・・!!そうか・・・この人間力の上昇率・・・そして無限回収しているリトルガールの不自然な空き・・・これで納得が行った。間違いない・・・この人は・・・)」


那珂村「(『グランプリ会場のトイレで、リトルガールをオカズにぶっかけオナニー』をかましやがった!!!!)」ドン!!


那珂村「(うわあああああ、最低だ!!最低すぎる!!でもこの人間力の高まり具合・・・これは『覚悟』をした戦士のオーラだ!!この人なら・・・この人ならそう・・・)」

深原「あ、もうすぐ試合始まっちゃいますよ!?急がないと!」

八百万岡「そうだね・・・じゃあ・・・」

那珂村「(『優勝する』と思わせてくれる!!)」


八百万岡「行ってくるよ」ドン!


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八百万岡「・・・やぁ、待たせたね」

渡鍋「いや、大丈夫ですよ」
渡鍋「(・・・このオーラ!!さっきまでとはまるで別人。あの短時間で一体何が・・・?)」

渡鍋「・・・俺と別れたあと何かあったんですか?」

八百万岡「いや・・・ちょっとひと皮剥けてきただけさ・・・」

渡鍋「へぇ・・・。でも、今の八百万岡さんでも俺は負けませんよ!」

八百万岡「じゃあはっきりさせようか。最低と最高・・・どちらが強いのか・・・勝負だ!!」




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後に八百万岡は優勝インタビューでこう語る。

「今回のグランプリは本当に厳しかった。グランプリトライアルから本選まで気を抜ける勝負が一つもなかった。でもそれでも優勝出来たのは力をくれたライバルと・・・」


「人間力のおかげですね!」



GP西表島 優勝:八百万岡



FIN

コメント

ムンナロー
2013年12月9日2:39

心底ワロタ

猛蔵
2013年12月9日7:22

ありがとうございます!

タムー
2013年12月16日12:10

書籍化希望!

猛蔵
2013年12月16日18:56

絶対的に文章の量が足りないw

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