マジック・ザ・ギャザリング!それはTCGの起源にして頂点!!
この世界最古のTCGにはルールでは語られることのない超常的な力が渦巻いている。
 その一つがそう、『人間力』!
『人間力』とは運命の力!!これは己の力で運命を切り開いていった男たちの物語である。

〈Pig Magic Open〉
深原「ニクスの星原出してフルアタック!」
名無「アッ…アバー!!」

深原「ふぅ、何とか勝てた」
渡鍋「あ、深原さん。お疲れ様です。どうでした?」
深原「あ、渡鍋君。いや~、何とか勝てたよ。トップが良かったね。これも人間力のおかげかなw」
渡鍋「(そういえば深原さん、新ニッサの剥ぎコラ作ったって言ってたもんなぁ…)僕も何とか勝てましたけど、なんだか調子悪いですね…」
深原「このデッキ使ってみる?『5Cニクスの星原』。自然に帰れを撃たれると死ぬけど、面白いよ」
渡鍋「マジっすか…後でちょっと回させてください」
深原「おけおけ…と、八百万岡君は…まだ対戦中か。ちょっと見に行こうか」

〈八百万岡 対戦テーブル〉
八百万岡「衰滅!!オラァ!!エンド!!!」
夜魔本「くっ!!全滅…」

深原「(今どんな感じ?)」
那珂村「(あ、深原さん。お疲れ様です。今は場をまっさらにしてお互いにハンドが1枚ずつの状態ですね。ちなみに勝敗は1-1です)」
渡鍋「(見た感じ八百万岡さんはスゥルタイコントロールで、夜魔本君は赤単ってところかな?)」
深原「(この場面だと八百万岡さんがコントロールし切って勝ちかな?)」
那珂村「(いや、分かりませんよ。八百万岡さんのライフは残り4ですから火力一発で削りきれますよ)」
渡鍋「(それに最近八百万岡さんはデレマスアニメで美城常務にシンデレラプロジェクト解散されて『俺の凸レーションが!あのババア許すまじ!身体の穴という穴に振動する桃色の不思議な物体を入れてやる!』って嘆いていましたが、逆に夜魔本君は『よっしゃあああ!これでスリーピングキノコwith島村卯月のアニメ出演が見えてきたぞ!!ババア、褒美に俺の武内きゅんをファックしていいぞ!!』と喜んでいましたからね。人間力にも大きな差が出ています)」
那珂村「(え?)」
深原「(いや、そのアニメ以外では『やったー!今季豊作すぎるぜやったー!コミケでミーアの等身大抱き巻き枕カバーって最高かよ!!日本バンザイ!!』って喜んでたからそこまでの大差は出ていないと思うよ。15話終わってから二人同時にLINEで『最高かよ…』って送られてきたし)」
那珂村「(え?)」
ギャラリー「(こいつら、テレパシーで会話してる…!)」

夜魔本「ではアンタップアップキープ…ドロー!…そのままターンエンド」
八百万岡「(そのままターンエンド?カウンターを警戒してハンドを貯めたか、土地だったけど有効牌に見せてのブラフか…いや…違う)」

夜魔本「…」シャカパチ シャカパチ シャカパチ シャカパチ
八百万岡「(シャカパチの為か!)」

『シャカパチ』!!
シャカパチとはパチパチやハンドシャッフル等とも呼ばれる、TCGをやる際に手札をシャッフルする行為の事を言う。これはスポーツ選手が気持ちを落ち着かせるために行うルーティーンと同じような行動だと一般的には解釈されているが、その裏にはカードで音を立てることによって相手を威嚇し、不快感を煽る攻撃的な面が隠されているという説もある。現に中国拳法の達人、釈迦 破血がこのシャカパチの音を用いて相手を催眠にかけ、勝負に勝ったという記録も非公式ながら残されている。
 現在ジャッジの間ではシャカパチをアサルト(暴力)行為として認めるか否かという議論が盛んにされている。

夜魔本「(ここから先はトップ勝負!ならばこの勝負は人間力が物を言う。八百万岡さん…ここは頂きましたよ!!)」シャカパチシャカパチ
八百万岡「(不味い…夜魔本君のシャカパチはすでに世界『ネヲチでさらされる』レベルの完成度!!このまま主導権を握られると焼き切られる!!)…んん、ドロー!!…くっ、エンド…」

夜魔本「(…!!八百万岡さんのあの表情!祈りを込めてライブラリートップをこすっても何も引けなかった様子!!!勝てる!!これは勝てるぞおおおおおお)ドロー!…エンド!」シャカカン パチパチ シャカパチパチ

八百万岡「…アンタップアップキープ…ドロー!よし、墓地のカードを5枚リムーブして『黄金牙、タシグル』プレイ!!」ドン!!
夜魔本「(ちぃ!?あれはまずい!)プレイスタック!本体に『かき立てる炎』!」
八百万岡「(マストカウンター!)ダメランから青出して『解消』!」

夜魔本「(残りライフ3!ここで決める!!)本体に『稲妻の一撃』!!」
八百万岡「ぐっグギャアアアア!!」
夜魔本「(勝った!第3部完!)」

深原「やったか!?」
渡鍋「いや…まだ…」

八百万岡「…スタック、『部族養い』」ドドンパチ!
夜魔本「アイエエエエ!?」

那珂村「ギャクテン!?ギャクテンナンデェ!?」

夜魔本「(確かに俺はシャカパチで八百万岡さんの人間力を上回っていたはず!それが何故…ハッ!?)」

渡鍋「そう…八百万岡さんは自分のカードを弾いて夜魔本君のシャカパチのリズムを崩して、彼の人間力の上昇を阻害していたのさ…」
那珂村「なるほど…八百万岡さん程のシャカパチストだからこそ出来る芸当ですね…」
深原「いや、それだけじゃあない…」

夜魔本「(そう…それだけでは自身の人間力を強化することにはならない…他に何か…あぁ!?八百万岡さんのスリーブは『凸レーション』の3人!!まさか、彼はカードを弾くふりをして…)」
八百万岡「(ククク…気づいたようだな…そう、俺はカードを弾くだけではなく、スリーブの彼女らに『パイタッチ』をしていたのさ!!)残りライフ5でエンド!!」デデドン!!

夜魔本「(それに加えてカードを引く時に見せたライブラリートップをこする動き!!あれも『パイタッチ』だったのか!!そうすれば『シャカパチ』と『パイタッチ』で100万人間力+100万人間力で200万人間力。ライブラリーをこすることでいつもの二倍の興奮が加わり400万人間力。そしていつもの3倍のギャラリーが加われば400万×3の夜魔本!俺を上回る1200万人間力だ!!)ドロー…くっ!エンド…」

八百万岡「アンタップアップキープ…ドロー。うん…『部族養い』しかないけど、いいかな?」
夜魔本「」
夜魔本「GG…。」

win 八百万岡!!
 人間力。それは『運命』を切り開く『意思』の力。
己を律し、心身を鍛えて人間力を高め、人々は勝利を掴んていく。
人間力にはMTGと同じく赤、青、緑、白、黒の5つがあるが、実は知られざる6つ目の人間力が存在する。

それが『マルチカラーの人間力』。

 『マルチカラーの人間力』!!
それはある特別な行動を起こすことで高められる人間力。
 宗教などでも見られるように、人々は『思い』や『祈り』の力で限界を超えた実力を発揮する事が出来る。それを自身が信仰する物事を行い、また祈る事によって引き出すのが『マルチカラーの人間力』だ。
 これは特別なことではなく、スポーツの世界でも選手が試合前などに『ルーティーン』と呼ばれる独特の動作を行って、集中力を高める姿がよく見られる。
 MTGの世界でも、試合中に『シャカパチ』や『台パン』、『マウス破壊』と呼ばれる動作を行って『マルチカラーの人間力』を高めるプレイヤーがよく見られる。これらの行為を不快に感じるプレイヤーも少なからずいるのだが、これは相手が自分を打ち倒そうとしている行動であるため、生物本能的に不快感を抱いても当然だとも言える。
 他に人間力を下げない為に、負けた後に「地雷デッキはケアしてなかったわー」、「土地事故ってマジックさせて貰えませんでした」、「そんだけブン回られたら無理だわ」、「ビギナーズラックには勝てないですよねw」、「いや、実はこのデッキこういうデッキじゃないんですよ。本当はもっと別な動きなんですけどね」、「あと1ターン早かったら勝ってたわー」、「まぁ運ゲーですよね?」、「いや、初手これだったら負けでしょ?」、「筋トレのしすぎでカード引けませんでした」、「実はあんまり寝てないんですよ」、「あーお腹痛くて試合に集中出来なかったー」、「勝って嬉しいの?ふーん」などと言うプレイヤーも見ることが出来る。



 『マルチカラーの人間』の使い手である猿獅子 一得は悩んでいた。
GP西表島を明日に控え、そこで自身の集大成をどうやったら見せられるのかと悩みに悩んでいた。
 悩んだ末、ある結論に達した。それは今まで自分を高めてくれたMTGに対しての『感謝』だった。自分自身を育ててくれたMTGへの限りなく大きな恩、自分なりに少しでも返そうとしたのが『感謝の自作トークン100枚作成』。

 本業をイラストレーターとする一得は、今までインスピレーションを受け続けてきたMTGに対して、トークンカードを自作することで恩を返そうと心に誓ったのだった。明日対戦したプレイヤーの方々にトークンを配ろう。その場面を想像しただけで心が豊かになり、体が人間力で満ち溢れるように感じた。

 一得は早速ホテルの小さな机に画材とカードを広げた。作ろうとしているのは『拡張アートを応用したトークン』。カードのテキストを無くし、P/Tと種族、そして色を新たに書き足して作るトークンカード。
 作業には多大な時間を要した。下書、下塗り、本塗り、そしてP/T等の加筆の順でイラストを広げていく。乾きの早いアクリル絵の具を使用しても、1枚を完成させるのに30分近くの時間が掛かっていた。
 一得はただひたすら書いた。一枚出来て次のに取り掛かっているのでは時間が足りず、同時並行で拡張アートを塗り進めていった。
 書く。書く。書く。寝食を忘れ、時にモバマスを走りながらもただひたすらに書いていった。

 100枚目に取り掛かった時、一得は異変に気が付いた。

 日が高らかに登っている。

 一得は時計に目をやると、針は12時を示していた。
GP西表島の当日受付開始時間は8時から9時。GPは彼を置き去りにして開催をしていた。

 一得は泣いた。そして100枚の拡張アートを完成させるとGPの会場へと足を運んだ。

 その後、サイドイベントのカオスドラフトで彼の姿を見たものはこういった。
「びっくりしましたよ。パックから精神を刻むもの、ジェイスと遍歴の騎士、エルズペス。それに解放された者、カーンを出してるのに、今にも泣きそうな顔をしているんですよ。あんな人初めて見ました」

 彼がこの時作成したトークンの行方は誰も知らない。


Force of human 番外編 その1 完
<GP西表島会場>
八百万岡「(お互いにハンドは空だが相手の場にはドムリにポルクラノス、それに高木の巨人か・・・。一方こちらの場には地下世界の人脈だけ・・・。ターンを返せば確実に負ける、次のドローで確実に・・・決める!ドロー!!)」ヒュバッ

八百万岡「・・・!!エレボスの鞭をプレイ!!」

木武羅「!!」

八百万岡「即起動で墓地にある灰色商人を釣り上げます、6点ドレイン!!」

木武羅「・・・まさか最後の最後に逆転されるとはね・・・。Good game!」

八百万岡「!!・・・ありがとうございました!!」

八百万岡「(やった・・・あの木武羅 無頼庵(きぶら ぶらいあん)に勝った・・・!今この瞬間、人間力が最高に高まっているのが感じられる。行ける・・・これは『優勝』も夢じゃない!!あと一歩のところにまでたどり着いたぞ!!)」

<ワアアアア

八百万岡「ん?向こうも終わったのか・・・って、え?」

[渡鍋 2-0 夜魔本]

八百万岡「( 夜魔本 くんが負けた!?確か渡鍋さんのデッキとの相性は良かったはず・・・!それが2-0のストレート負けなんて・・・)」

深原「八百万岡さん、お疲れさま~っす」
那珂村「おめでとうございます、ついに決勝戦ですね」

八百万岡「あ・・・ありがとうございます。あの・・・夜魔本くんと渡鍋さんの試合って見てましたか?」

深原「あ、見てましたよ。夜魔本くんの方がデッキ相性的には有利だったんですが、渡鍋さんがそれ以上にドブンしてましてね。3ターン目にゼナゴスからドムリ出してましたよ」
那珂村「あれはイカサマしてると言われてもしょうがない位に酷い動きでしたね」

八百万岡「え?なにそれ怖い」
八百万岡「(確か渡鍋さんは『緑の人間力』使い・・・だったよな)」

『緑の人間力』!!
 それは日常生活で幸運な事が起こると高められる人間力。
運気の上昇は人生を豊かにし、高まる運気とともにこの『緑の人間力』も相乗的に高められていく。
 この『緑の人間力』は他の『人間力』とは違って故意には高めることが出来ないため、上がり幅が大きいこと、人によって上がり方の差が激しいことが特徴である。
例えば「味噌汁の具のあさりの中に小さなカニがいた」、「ふと時計を見たら2:22でにゃんにゃんにゃんだった」という小さなことに幸せを感じる人もいれば、「ガリガリくんが当たった」、「チョコボールで金のエンゼルが当たった」位の大きな幸運でないと幸せを感じられない人もいる。
 また扱いが難しい『人間力』でもあり、某人物が毎日ハッピーとつぶやいて『緑の人間力』を得ようとしていたが、敢え無く失敗に終わっている。

八百万岡「(これは最近人間力を爆発的に高める『何か』が起こったと考えられるな・・・。うん・・・これは本人に直接聞いた方が早いな・・・)」

八百万岡「ちょっと飲み物買ってきますね」

Force of human 最終話 「GP西表島、決勝」

<GP西表島会場・廊下>

渡鍋「みっきまー みっきまー みっきみっきまー♪ 使えば金出せ みっきみっきまう・・・ん?」

八百万岡「あ、渡鍋さん。お疲れ様です」

渡鍋「闇に飲まれよ!なんつってなんつって!おっつおっつ、ヤオち~ん☆彡」

八百万岡「(ウザ)・・・どうしたんですか?やけにテンション高いじゃないですか」

渡鍋「あ、分かる?分かっちゃった?ん~?さっすがヤオちん鋭いゾ☆」

八百万岡「(心底ウザ)何かいい事でもあったんですか?まぁ、決勝までお互いに勝ち残れたのでいい事はもうあったんですが・・・」

渡鍋「それもそうなんだけど、それだけじゃないんだよヤオちん!も~う、ヤオちんはニブちんさんなのです!プンプン!!」

八百万岡「(死ねばいいのに)・・・へ・・・へぇ・・・じゃあもっといい事あったんですか?ちょっと教えて下さいよぉ~」

渡鍋「え~、どーしよっかな~。・・・聞きたい?聞きたいの??じゃあ知りたがりのヤオちんにちょっとだけ教えちゃおっかなぁ~。・・・なんと私・・・最近『彼女』が出来ました!!!いぇい!!」

八百万岡「ガカアッッ」<クルマダトビィイ!!

八百万岡「(な・・・か・・・『彼女』が出来た・・・だと・・・?)」ガクガクガクガク

渡鍋「そうそう、最近水族館デートしてきたんですよ。デートですよ、デ・エ・ト♪その時の写真見たいですか?見たいですよね?見たいに決まってますよね。も~う、ヤオちんは欲張りさんなんだからぁ~。特別にちょっとだけ見・せ・ちゃ・う・ゾ☆」

八百万岡「(全く頼んでないのに・・・ってこれは・・・)」

八百万岡「(うっわブサイク!!)」

八百万岡「(いや・・・そこまでブスってわけじゃ無いんだけど、この100点満点中43点くらいのこの感じ・・・。仮に彼女が超絶美人だったら『あ、これは絶対に騙されてるな』って思えるし、逆にものすごいブサイクだったら『ああ、男だったら誰でも良かったんだな』と思えた・・・。しかしこの中途半端な感じ・・・写真のラブラブ具合も含めて、なんとも言えないのが非常に腹立たしい・・・)」

渡鍋「ね?可愛いっしょ///彼女もアニメ好きで、カードゲームにも興味あるっていうし・・・もう相性ばっちしですよ///////これはもう結婚秒読みかな~って結婚はまだ早すぎるでしょーもーヤオさんのエッチー!!」バンバン

八百万岡「(超絶うぜぇ・・・どう考えてもお前の彼女より、後ろのアザラシの方が可愛いだろうが・・・。ああ、渡鍋さんの浮かれ具合も相まって悲しくなってきた・・・ああ・・・俺独りでこんな遠くにまでカードゲームしに来て・・・何やってんだろう・・・。全国のカップル共め・・・爆発しろ・・・はらわた四散させて惨たらしく爆ぜろ・・・)」


渡鍋「あ、もうこんな時間!じゃあ俺試合前に愛しの彼女にラブコールしてきま~っす」スキップスキップ

八百万岡「(あ・・・行ってしまった。ああ、自分の人間力が流れ出ていくのが分かる・・・。こんなんだったら渡鍋さんと話すんじゃなかった・・・くそぉ・・・リア充対象に仕組まれた疫病おければいいのに・・・リア充根絶しろ・・・。しかしこの下がりきった『人間力』をどうにかしないと、人生においてもMTGにおいても両方で負けてしまうぞ。それだけは避けたい・・・)」

八百万岡「(まず『白の人間力』は・・・期待出来ないな。あれは小さくコツコツと積み重ねていくものだし、今のドブ川みたいなドス黒い心じゃ上がるものも上がらない。産気づいた妊婦さんを助けたとかなら話は別だが・・・そんな人は見当たらないし、おまけに時間もない。)」

八百万岡「(・・・とすれば『黒の人間力』か?ドス黒い感情が支配している今なら相当高いレベルまで上げられる、デッキの色とも噛み合っている・・・!しかし、あと十数分で・・・しかもこの会場内で・・・出来る事があるのだろうか・・・。『黒の人間力』は『背徳』を糧にする人間力・・・!ちょっとやそっとのことじゃ今の渡鍋さんには勝てないし、かと言って大きい事をすれば下手すれば犯罪行為になる。そんな『バレない』で『人に迷惑をかけない』で『短時間』で行えながら『人間力を大幅に上げることが出来る行為』なんてそんなもの・・・あっ!!あった!!最低で最悪の選択だが・・・いや・・・しかし・・・俺にはもう後がないんだ・・・。これがどんなに最悪な選択だったとしても・・・俺は・・・1%でも勝てる可能性が上がるとしたら・・・やる!やってやる!!さぁ、伸るか反るか・・・GP決勝戦、開始だ!!)」ダッ

//////-<WC>-

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那珂村「八百万岡さん、もうすぐ試合始まるっていうのに遅いですね」タッタッタッ
深原「普通にトイレじゃ・・・あ、やっぱり。八百万岡さ~ん」

八百万岡「ああ・・・心配かけさせてしまったね・・・」

那珂村「(ん?なんだか八百万岡さんの様子がおかしいな。とても爽やかで、朗らかな・・・そして全てを悟った賢者ような表情。それに見て感じられる程の溢れんばかりの禍々しい人間力!!まさか・・・)」

八百万岡「・・・人は・・・どうして争うんだろうね・・・」

那珂村「(この人、GPのトイレで抜きやがった!!)」

那珂村「(いや、でもちょっと待て。確か八百万岡さんは『ぶっかけオナニー』派!!不完全燃焼で終わればここまでの人間力は出せない・・・。エロ本を持参しているともスマホにぶっかけたとも考え難いし・・・俺の思い違いかな?でもこの短時間でどうやってここまでの人間力を・・・)」

深原「でもトイレ行くんだったら一言言ってくれればいいのに・・・。荷物持ってましたよ?」

八百万岡「すまないね・・・。でも・・・大切なカードだからどうしても手元に置いておきたくて・・・ね」

深原「あ、そのファイルですか?ちょっと見せてもらえませんか~」
那珂村「いや、もうすぐ試合始まるから・・・」

八百万岡「ちょっとだったら構わないよ・・・ほら・・・」ペラ
深原「おお、素晴らしいフォイル・コレクションですね~。そっちのファイルは?」

八百万岡「こっちはリトルガールの無限回収だよ・・・。なんとなく・・・好きでね・・・」ペラ
深原「へ~」
那珂村「!!」

那珂村「(・・・今、一箇所だけ不自然なファイルの空きがあった!八百万岡さんほどの几帳面なプレイヤーが、途中に空きを作るような雑なカードのしまい方をするはずがない・・・!!そうか・・・この人間力の上昇率・・・そして無限回収しているリトルガールの不自然な空き・・・これで納得が行った。間違いない・・・この人は・・・)」


那珂村「(『グランプリ会場のトイレで、リトルガールをオカズにぶっかけオナニー』をかましやがった!!!!)」ドン!!


那珂村「(うわあああああ、最低だ!!最低すぎる!!でもこの人間力の高まり具合・・・これは『覚悟』をした戦士のオーラだ!!この人なら・・・この人ならそう・・・)」

深原「あ、もうすぐ試合始まっちゃいますよ!?急がないと!」

八百万岡「そうだね・・・じゃあ・・・」

那珂村「(『優勝する』と思わせてくれる!!)」


八百万岡「行ってくるよ」ドン!


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八百万岡「・・・やぁ、待たせたね」

渡鍋「いや、大丈夫ですよ」
渡鍋「(・・・このオーラ!!さっきまでとはまるで別人。あの短時間で一体何が・・・?)」

渡鍋「・・・俺と別れたあと何かあったんですか?」

八百万岡「いや・・・ちょっとひと皮剥けてきただけさ・・・」

渡鍋「へぇ・・・。でも、今の八百万岡さんでも俺は負けませんよ!」

八百万岡「じゃあはっきりさせようか。最低と最高・・・どちらが強いのか・・・勝負だ!!」




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後に八百万岡は優勝インタビューでこう語る。

「今回のグランプリは本当に厳しかった。グランプリトライアルから本選まで気を抜ける勝負が一つもなかった。でもそれでも優勝出来たのは力をくれたライバルと・・・」


「人間力のおかげですね!」



GP西表島 優勝:八百万岡



FIN
<GP西表島会場>

那珂村「フルアタック、そして馬力充填を超過でプレイ」
対戦相手「・・・負けました」
那珂村「ありがとうございました」

ギャラリー1「おいおい・・・あの人、あんな細いデッキで決勝トーナメントにまで残っちゃったよ・・・」
ギャラリー2「しかも最近仕事が忙しくて、大会にもほとんど出れなかったみたいだせ?昨日も遅くまで残業だったらしくて、調整の時間どころか休みも十分に取れてないんだって。おまけに家庭持ちらしいし・・・」
ギャラリー1「マジかよ。そんな中で勝ち残れるって・・・やっぱ強い人は持ってるものが違うな」


八百万岡「(いや、違う)」

八百万岡「(確かに那珂村さんは忙しい人だし、MTGが強いというのも事実。が、しかし!強いから『仕事が忙しくても勝てる』のではない。むしろ『逆』!!『仕事が忙しいからこそ勝てる』のだ!)」

八百万岡「(現に今までの試合では一度も『事故を起こさず』に『ドブン』に近い動きで勝っている!土地が17枚という不安定なデッキであの引きの強さ・・・間違いない・・・)」

八百万岡「(那珂村さんは『青の人間力』使いだ!!)」ドン!

Force of human 第2話 「GP決勝トーナメント前」


 『青の人間力』!!
それは多忙であればあるほど高められる人間力。
 忙殺され、精神・肉体が共に極限状態にまで達した時に、人は限界を超える事が出来る。
その境地に達した時、感覚は研ぎ澄まされ、心はたぎり、人間力は満ち溢れる。そこで得られるのが『青の人間力』である。
 職場などで「つれー、昨日実質1時間しか寝れてないからつれーわー」と寝てないアピールをする人がいるが、それは自身の人間力を高めようとして行っている行動であり、立派な営業戦略の一つである。「疲れたアピール」も同様に、『青の人間力』を高める為の初歩的な手段だと言われている。
 他にも『青の人間力』を得るために、わざと自分を追い込む方法もある。
具体的には「夏休みの宿題を最終日にまとめてやる」、「コミケ入稿がまだなのに艦これをプレイ」、「貧乏なのにモバマスに課金」などがそうだと言われている。


八百万岡「(那珂村さんのデッキは『赤単ブリッツ』!ブン回られたら俺のデッキじゃ間に合わない。仕方がない・・・)」

八百万岡「(今のうちに『潰して』おくか)」ニヤァ

<休憩スペース>

那珂村「フゥー、ようやく決勝トーナメントか・・・」

那珂村「(残業続きの毎日で体はボロボロ。栄養ドリンクでごまかしてるけどダルさが抜けない。目もかすれてる、多少熱もあるみたいだ。・・・つまり『最高のコンディション』ということだ!!)」

那珂村「(フーハハー、営業出まくって無理に案件を取ってきた甲斐があったぜ!でかい案件が取れたおかげでボーナスも期待出来るし、GP遠征代も稼げて一石二鳥!!会社からは心配されて有給まで取らされたし、家族からも『たまの息抜き』ということで暖かく見送ってもらった!!今ならどんなクソデッキを使っても負ける気がしない!勝てる・・・勝てるぞおおおお!!!俺は!このデッキで!!優勝をして見せる!!)」ゴキュゴキュ

通行人1「(うわぁ・・・あんな凶悪な顔でレッドブル飲む人初めて見た・・・)」


八百万岡「那珂村さん、お疲れ様です」

那珂村「八百万岡さん・・・お疲れ様です・・・。なんとかお互い決勝トーナメントまで勝ち残れましたね」

八百万岡「そうですね、お互いベストを尽くしましょう。・・・那珂村さん、最近忙しくて寝る暇もないって聞いてますけど大丈夫ですか?」

那珂村「いや、実は相当疲れてます。でも・・・あとは決勝トーナメントだけなのでここが踏ん張り所ですね」

八百万岡「那珂村さん・・・」

那珂村「(といってもわざと忙しくしてるんだけどね。この程度の疲労だったら、大会終了までは持つだろうし・・・あとは今の状態をキープできれば・・・)」

八百万岡「あ、じゃあ俺マッサージしますよ」

那珂村「!!」

八百万岡「俺こう見えても上手いんですよ~。ほら、後ろ向いてください」

那珂村「いや、悪いですよ・・・」
那珂村「(まずい!今マッサージなんてされたら人間力が・・・この極限状態が解けてしまう!!)」

八百万岡「ほら、遠慮なんてせずに!」ギュム

那珂村「はうん!」ビクッ
那珂村「(くっ・・・ここでリラックスしては決勝トーナメントが・・・なんとか止めて貰わないと・・・)」

八百万岡「うわ・・・めちゃくちゃこってるじゃないですか・・・。これはひどいですね」モミモミ

那珂村「おぅ・・・ぅ・・・」トローン
那珂村「(らめえ!とめなきゃいけないのに逆らえない!!んぁ!!)」

八百万岡「(ククク・・・学生時代にマッサージ店でバイトして培ったこの『マッサージテク』!お疲れのお父さんを骨抜きにするなど朝飯前よ・・・)」グギィ

那珂村「(!!八百万岡さんのあの表情・・・このマッサージは俺の『人間力』を下げるのが『目的』か!?・・・だとすれば一刻も早く辞めさせなければ・・・)」

八百万岡「大丈夫ですかー?痛くないですかー?」グイッ

那珂村「(んほおおおお!でもきもちいいんんん!!やめさせなくちゃいけないのに!いけないのにいいいいい)」ビクビク

八百万岡「(まだ逆らおうとしてるのか・・・ならば!)」

那珂村「(ん・・・急に強く・・・んあ!?リンパ線コリコリしちゃったら私・・・ひぎぃ!!きもちよしゅぎいいいいい!らめえええ!きもちよしゅぎてあたまぱーになっちゃう!くるくるぱーになっちゃううううう!!んほおおおお!来ちゃう来ちゃう来ちゃう!!これ以上されたら気持ちよすぎて睡魔きちゃいましゅううう!!!!)」

??「ぱぱー、大会がんばってねー」

那珂村「(は・・・!?ダメだ、俺は約束したんだ・・・。愛する息子と妻に・・・『優勝してくる』って・・・。俺は・・・俺はこんなマッサージには屈しない!)」キリッ

八百万岡「ほい」グッグッ

那珂村「(ひぎぃいいい!おとなマッサージきもちよしゅぎいいいいい!!)」

八百万岡「(そろそろだな・・・。こいつでフィニッシュと行こうか・・・)」グイッ

那珂村「(頭!?そんな敏感になっている時に頭なんてマッサージされたら・・・・んほぉ!らめぇええそんなに先っぽ(あたま)ばっかり弄っちゃ・・・あうん!ん!太いのがツボにコツコツ当たって・・・もうダメ・・・何も考えられない・・・もう気持ちよすぎてマッサージのことしか考えられないいい!!はうぅんん!!)」

八百万「(おらぁ、イケえ!!)」グイイイイイ

那珂村「(はひぃいい!いいのおおお!まっさーじいいのおおお!!!イクイクイっちゃう!!本気リラックスいっちゃいましゅうううう!!!んほおお!!イグウウウウウウウ!!)」ビクビクビク

八百万岡「・・・っともうすぐ時間ですね。那珂村さん、そろそろ戻りましょうか」

那珂村「はひぃ・・・」トローン



ギャラリー1「那珂村さん、決勝トーナメント1回戦で事故って敗退だって」
ギャラリー2「マジか・・・。まぁ、あのデッキで今まで事故らなかったっていう方が凄いけどな」

ギャラリー1「でも不思議だよな」
ギャラリー2「ん?」

ギャラリー1「那珂村さん、初戦敗退だっていうのに・・・」



ギャラリー1「安らぎに満ちた顔だったんだって」
ギャラリー2「なんだそれ」


那珂村 lose
マジック・ザ・ギャザリング!!
それは1993年にアメリカで誕生し、今もなお人々を熱狂させ続けている史上初のトレーディングカードゲームである。
 このカードゲームは長い歴史と共に、実に数多くの都市伝説を持っている。
例えば「ゲーム時間があまりにも長く、試合中にガラスの仮面を読み出した人がいた」、「ビリビリに破いて使用するカードがある」、「765枚デッキがある」、「MTGのカードはWotC社の地下にあるガラスケース入の脳みそが全てデザインしている」などがある。

 その中でも実しやかに噂されているのが『人間力』の存在だ。

 『人間力』とは『運命を操る力』!
これを持つ者は常に最強のカードを引くことが出来、最高のゲームを展開することが出来ると言われている。
一流のプレイヤーほど高い人間力を持ち、彼らは日常生活から人間力を高める努力をしているという話もある。

 これらは一般的には根も葉もない噂話だとされている。
しかし、果たしてそうなのだろうか?

 答えはMTGプレイヤーだけが知っている。


Force of human 第1話 「GPT」

八百万岡「_____アスフォデルの灰色商人をプレイ」
対戦相手「・・・ありません、投了します」
八百万岡「ありがとうございました(ふぅ・・・なんとか勝てた・・・。)」

八百万岡「(デッキの相性はいいはずだったのに苦戦したな・・・。次の決勝戦に勝てばGP西表島の3byeが貰えるけど、今のままじゃ厳しいだろうな・・・よし、少し『補充』をしてくるか)」

八百万岡「すみません、試合前にちょっとトイレ行ってきます」


<WC>

深原「フフフフ フフーフ フレイムターン♪(ガチャ)・・・あ、八百万岡さん。お疲れ様~っす。どうしたんですか?トイレの手洗い場なんか拭いて・・・」

八百万岡「あ、お疲れ様です。いや・・・水しぶきが飛んでるのが気になりましてね、次の人のためにもちょっとキレイにしておこうかなと思ったんですよ」

深原「へー、ナイス気配りですね。確かゴルフの石川遼くんも同じことやってるみたいですね。・・・あ、ひょっとして善行積んで『人間力』稼ごうとしてませんか~?」

八百万「ハハハ、まぁそんなところかな」

深原「・・・」ジャー
八百万岡「・・・」フキフキ

深原・八百万岡「!!」バッ

八百万岡「(『人間力』!?今深原さん、『人間力』って言ったか!?)」

深原「(八百万岡さんのこのリアクション・・・『人間力』の存在を知っている!?つまり・・・八百万岡さんは『人間力』を!『理解』して掃除を行っている!間違いない、彼は『人間力』使い・・・そう・・・『白の人間力』使いだ!!)」ドンッ


『白の人間力』!!
それは善行を積むことで高められる人間力。
 諺の「情けは人の為ならず」や四文字熟語の「因果応報」、「自業自得」という言葉が指すように、自身の行動は自分自身に反映される。その因果関係を利用した、最もポピュラーな人間力である。
 一流のプロスポーツ選手が大企業の社長は人格的にも素晴らしい人が多いと言われているが、それは本能的にこの白の『人間力』を高めて自身の運気を上げているせいだとも言われている。
 具体的には「歌い手である友人の動画を実名で宣伝し、学校の校内放送で流す」、「リア充に対する罵詈雑言をツイッターでつぶやく」、「電車で妊婦さんに席を譲る(デブを勘違いしても可)」などが善行だとされている。


深原「(八百万岡さんは決勝で当たる対戦相手・・・)」 

八百万岡「(『人間力』の存在を知っているとすれば厄介な相手になる・・・)」

深原・八百万岡「(仕方がない・・・)」

深原・八百万岡「(今!この場で潰す!!)」ドン!!!


八百万「深原さん、最近調子いいみたいじゃないですか。今回も全勝で決勝トーナメントまで進んでますし・・・」

深原「そうそう、この環境入ってから絶好調なんですよ!環境が合っていると言いますか、理想のデッキが出来たといいますか。今なら負ける気がしませんね!」ドヤァ!!

八百万岡「(この溢れる自信、そしてドヤ顔・・・深原さんは『赤の人間力』か・・・)」

『赤の人間力』!!
それは好きなカード、好きなアーキタイプ、そして好きなものを使うことで高められる人間力。
 好きだから使い続ける→好きだからより知りたくなる→知ったからこそもっと好きになるという、好き好き大好きうーどっかーんスパイラルによって加速度的に人間力が高められる。
 一般的には好きなものが限定的であればあるほど人間力の増加率が上がると言われている。
 この人間力は好きなものを公言したり、使い続ける以外にも「FNM3-0経験者の先輩として、同じようなデッキを使っている人の日記に対してアドバイスをする」、「頼まれてもいないのに、試合後に自分のデッキ解説をする」、「大会会場で同じようなデッキを使っている人以外に対して、とにかく説教をする」などを行うことによって高められると言われている。

深原「今の環境でライフゲインってほとんど使われていないじゃないですか。確かに灰色商人とか信心系の回復はあるんですが、それって結構後半じゃないと稼げないと思うんですよ。つまり今の環境は若干遅めだけど前半のテンポを取れるカードがなく、後半に爆発的にアドバンテージを稼ぐことでそれを埋めている環境だと思うんですよ。だから今は赤単ブリッツみたいな早いデッキがその隙をつけると思うんですね。僕はそこをラクドスにしてカードパワーを上げ、最後の数点が削れないような事が無いようにしたんですよ!いや~赤って本当にいいですよね!フフーン、その赤を使い続けている僕を褒めてくれてもいいんですよ?」フンスフンス

八百万岡「(このマシンガントーク、そしてこの某WotC社員のごときドヤ顔!さすが深原さんだ・・・。この人の『赤の人間力』はかなり高いレベルにまで洗練されている・・・!)」

深原「(どうだ、このレベル2ジャッジで鍛えられたドヤ顔。このドヤ顔とカード愛で八百万岡さんの『人間力』を上回って見せる、3byeを獲得するのは俺だ!!!)」

八百万岡「(確かに深原さんのドヤ顔はかなりのレベルにまで達している・・・しかし!それが仇となったな)」

八百万岡「深原さんは昔から赤使ってましたもんね~。いやー、プレイも本当に綺麗でまさに『赤の申し子』って感じですよ」

深原「えっ?そ・・・そうっすか・・・」テレテレ

八百万岡「そうですよ。デッキも斬新でオリジナリティ溢れるのを大会に持ってきてくれますし、僕深原さんのこと尊敬してるんですよ。あ、深原さんのそのメガネすごくオシャレですね。あれですか?やっぱり強い人はオシャレセンスも高いんですか?」

深原「い・・・いやいや、そんなことはないですよ・・・。このメガネだってメガネドラックで店員さんの言われるがままに買ったものですし・・・」テレリンテレリル

八百万岡「(ククク・・・これぞ赤の人間力対策、『HOME-GOROSHI』!!褒められていない日本人は褒められると必ず『謙遜』をする!!ましてや人のいい深原さん・・・褒められれば照れて謙遜することはドクターペッパーを飲んだらゲップをすることよりも確実ッ!このまま褒め殺して人間力を吸い尽くしてくれるわ!!)」

深原「(ハッ!?八百万岡さんのペースに乗せられて褒められるがままにされている・・・!!このままでは八百万岡さんは自身の人間力を上げて、俺は人間力を下がったままの状態で試合に望むことになる!それだけは避けないと・・・やむを得ない・・・『奥の手』を使うか・・・)」

深原「・・・あー・・・なんだか会場が暑いですね・・・。ちょっと上着脱ごう・・・」ヌギヌギ

八百万岡「そのオシャレなネルシャツ脱いじゃうんですか?でもインナーもオシャレなの着てるんでしょ・・・ハッ!!!!!」

深原’sシャツ<プリッキュアアアアアアアア!!>

八百万岡「(あれは・・・『ドキドキ!プリキュア』のキャラTシャツ!!!しかも・・・妙にピチピチだ・・・)」

深原「ん?・・・ああ、このシャツですか。最近プリキュアにはまっちゃいましてね、思わずキャラTシャツ買っちゃいましたよwww流石に小学生女子向けのしかありませんでしたが、LLサイズで買えば意外と入るんですよねwwwいやー身長無くて初めて感謝しましたわwwwww」

八百万岡「(うわああああ、流石にこれは褒められない!これはひどい、ひどすぎる!!・・・しかしこれで『確信』した!デッキの選択で気づくべきだった・・・深原さんは『赤』だけではない・・・『赤』と『黒』の混成色の『人間力』使いだ!!)」


『黒の人間力』!!
それは他の人間力をあえて落とすことによって、爆発的に高めることが出来る人間力。
 視覚を失った人の感覚がそれ補おうとして他の感覚が鋭くなるように、他の人間力を切り捨てることによって一点特価が可能となる。
 一般的には法律に触れるようなガチクズの行為ではなく、一般良俗からちょっと外れる程度のカジュアルクズな行為が良しとされている。
 具体的な行為では「大学の講義をサボって大会に出る」、「営業に出たついでにカードを買う」、「アイカツおじさん」、「クドわふたーをプレイ」などが挙げられる。

深原「特に相田マナちゃんがめちゃシコちんちん丸でしてね、日曜朝8:30からは朝勃ちからのモーニングオナニーですよwwwプリキュアをオカズにおはよう朝ごはんっすわwwwwww」

八百万岡「(最低だ・・・最低すぎる・・・が、しかし!深原さんは事実めっちゃいい人だし、どんなにひどい下ネタを言ってもの許される雰囲気がある・・・!この『最低だけどこの人ならしょうがない』という雰囲気が『黒の人間力』を最高にまで高める・・・!!)」

深原「そろそろ時間も押してますし、会場戻りましょうか」

八百万岡「え、うん・・・そ・・・そうですね・・・」

深原「(フーハハ、これで八百万岡さんは人間力を稼ぐことも出来ずに試合に臨むことになる!この勝負頂いた!!!)」

八百万岡「(まずい、このままだと確実に負ける・・・!!何か一発逆転の手は・・・ハッ!!あった!!これしかない!!)」

深原「八百万岡さんのデッキ相手だと厳しそうですが、負けませんよ・・・ってあっ!」

八百万岡「あっ!」

トークンカード「おい、踏むなよ」

深原「アイエエエ!カード!?ナンデ?ナンデエエエエ!?」

八百万岡「ああ、すみません!カード落としてしまいまして・・・でも他にもトークンありますし、大丈夫ですよ」

深原「でも・・・試合に使うカードなんでしょう?それを踏んでしまって・・・あの・・・なんと謝っていいか・・・」オロオロ

八百万岡「いいんですよ、僕も不注意でしたし・・・」

深原「(ああん、俺のドジ!おっちょこちょい!ロリコン!人のカードを踏むなんて・・・って・・・普通カードなんて落とすか・・・?しかもトイレ休憩中の何でもない場面で・・・まさか・・・)」

八百万岡「・・・」ニヤッ

深原「!?」

八百万岡「(ククク・・・深原さんはドラフトでどんなクソカードを集めても必ず持って帰る程カードを大切にするプレイヤー・・・!!そんな人がカードを足蹴にするなんて・・・精神的ショックは計り知れないよなぁ・・・)」クケケケケ

深原「あんた・・・そんな事したら自分の人間力まで・・・」

八百万岡「・・・深原さん。確かに俺が『白の人間力』使いだったら自分自身の人間力も大幅に下がっていたでしょう。でもね・・・」


八百万岡「俺は『白』『黒』混成の『人間力』なんですよ」ドン!!


八百万岡 win

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