人間力。それは『運命』を切り開く『意思』の力。
己を律し、心身を鍛えて人間力を高め、人々は勝利を掴んていく。
人間力にはMTGと同じく赤、青、緑、白、黒の5つがあるが、実は知られざる6つ目の人間力が存在する。
それが『マルチカラーの人間力』。
『マルチカラーの人間力』!!
それはある特別な行動を起こすことで高められる人間力。
宗教などでも見られるように、人々は『思い』や『祈り』の力で限界を超えた実力を発揮する事が出来る。それを自身が信仰する物事を行い、また祈る事によって引き出すのが『マルチカラーの人間力』だ。
これは特別なことではなく、スポーツの世界でも選手が試合前などに『ルーティーン』と呼ばれる独特の動作を行って、集中力を高める姿がよく見られる。
MTGの世界でも、試合中に『シャカパチ』や『台パン』、『マウス破壊』と呼ばれる動作を行って『マルチカラーの人間力』を高めるプレイヤーがよく見られる。これらの行為を不快に感じるプレイヤーも少なからずいるのだが、これは相手が自分を打ち倒そうとしている行動であるため、生物本能的に不快感を抱いても当然だとも言える。
他に人間力を下げない為に、負けた後に「地雷デッキはケアしてなかったわー」、「土地事故ってマジックさせて貰えませんでした」、「そんだけブン回られたら無理だわ」、「ビギナーズラックには勝てないですよねw」、「いや、実はこのデッキこういうデッキじゃないんですよ。本当はもっと別な動きなんですけどね」、「あと1ターン早かったら勝ってたわー」、「まぁ運ゲーですよね?」、「いや、初手これだったら負けでしょ?」、「筋トレのしすぎでカード引けませんでした」、「実はあんまり寝てないんですよ」、「あーお腹痛くて試合に集中出来なかったー」、「勝って嬉しいの?ふーん」などと言うプレイヤーも見ることが出来る。
『マルチカラーの人間』の使い手である猿獅子 一得は悩んでいた。
GP西表島を明日に控え、そこで自身の集大成をどうやったら見せられるのかと悩みに悩んでいた。
悩んだ末、ある結論に達した。それは今まで自分を高めてくれたMTGに対しての『感謝』だった。自分自身を育ててくれたMTGへの限りなく大きな恩、自分なりに少しでも返そうとしたのが『感謝の自作トークン100枚作成』。
本業をイラストレーターとする一得は、今までインスピレーションを受け続けてきたMTGに対して、トークンカードを自作することで恩を返そうと心に誓ったのだった。明日対戦したプレイヤーの方々にトークンを配ろう。その場面を想像しただけで心が豊かになり、体が人間力で満ち溢れるように感じた。
一得は早速ホテルの小さな机に画材とカードを広げた。作ろうとしているのは『拡張アートを応用したトークン』。カードのテキストを無くし、P/Tと種族、そして色を新たに書き足して作るトークンカード。
作業には多大な時間を要した。下書、下塗り、本塗り、そしてP/T等の加筆の順でイラストを広げていく。乾きの早いアクリル絵の具を使用しても、1枚を完成させるのに30分近くの時間が掛かっていた。
一得はただひたすら書いた。一枚出来て次のに取り掛かっているのでは時間が足りず、同時並行で拡張アートを塗り進めていった。
書く。書く。書く。寝食を忘れ、時にモバマスを走りながらもただひたすらに書いていった。
100枚目に取り掛かった時、一得は異変に気が付いた。
日が高らかに登っている。
一得は時計に目をやると、針は12時を示していた。
GP西表島の当日受付開始時間は8時から9時。GPは彼を置き去りにして開催をしていた。
一得は泣いた。そして100枚の拡張アートを完成させるとGPの会場へと足を運んだ。
その後、サイドイベントのカオスドラフトで彼の姿を見たものはこういった。
「びっくりしましたよ。パックから精神を刻むもの、ジェイスと遍歴の騎士、エルズペス。それに解放された者、カーンを出してるのに、今にも泣きそうな顔をしているんですよ。あんな人初めて見ました」
彼がこの時作成したトークンの行方は誰も知らない。
Force of human 番外編 その1 完
己を律し、心身を鍛えて人間力を高め、人々は勝利を掴んていく。
人間力にはMTGと同じく赤、青、緑、白、黒の5つがあるが、実は知られざる6つ目の人間力が存在する。
それが『マルチカラーの人間力』。
『マルチカラーの人間力』!!
それはある特別な行動を起こすことで高められる人間力。
宗教などでも見られるように、人々は『思い』や『祈り』の力で限界を超えた実力を発揮する事が出来る。それを自身が信仰する物事を行い、また祈る事によって引き出すのが『マルチカラーの人間力』だ。
これは特別なことではなく、スポーツの世界でも選手が試合前などに『ルーティーン』と呼ばれる独特の動作を行って、集中力を高める姿がよく見られる。
MTGの世界でも、試合中に『シャカパチ』や『台パン』、『マウス破壊』と呼ばれる動作を行って『マルチカラーの人間力』を高めるプレイヤーがよく見られる。これらの行為を不快に感じるプレイヤーも少なからずいるのだが、これは相手が自分を打ち倒そうとしている行動であるため、生物本能的に不快感を抱いても当然だとも言える。
他に人間力を下げない為に、負けた後に「地雷デッキはケアしてなかったわー」、「土地事故ってマジックさせて貰えませんでした」、「そんだけブン回られたら無理だわ」、「ビギナーズラックには勝てないですよねw」、「いや、実はこのデッキこういうデッキじゃないんですよ。本当はもっと別な動きなんですけどね」、「あと1ターン早かったら勝ってたわー」、「まぁ運ゲーですよね?」、「いや、初手これだったら負けでしょ?」、「筋トレのしすぎでカード引けませんでした」、「実はあんまり寝てないんですよ」、「あーお腹痛くて試合に集中出来なかったー」、「勝って嬉しいの?ふーん」などと言うプレイヤーも見ることが出来る。
『マルチカラーの人間』の使い手である猿獅子 一得は悩んでいた。
GP西表島を明日に控え、そこで自身の集大成をどうやったら見せられるのかと悩みに悩んでいた。
悩んだ末、ある結論に達した。それは今まで自分を高めてくれたMTGに対しての『感謝』だった。自分自身を育ててくれたMTGへの限りなく大きな恩、自分なりに少しでも返そうとしたのが『感謝の自作トークン100枚作成』。
本業をイラストレーターとする一得は、今までインスピレーションを受け続けてきたMTGに対して、トークンカードを自作することで恩を返そうと心に誓ったのだった。明日対戦したプレイヤーの方々にトークンを配ろう。その場面を想像しただけで心が豊かになり、体が人間力で満ち溢れるように感じた。
一得は早速ホテルの小さな机に画材とカードを広げた。作ろうとしているのは『拡張アートを応用したトークン』。カードのテキストを無くし、P/Tと種族、そして色を新たに書き足して作るトークンカード。
作業には多大な時間を要した。下書、下塗り、本塗り、そしてP/T等の加筆の順でイラストを広げていく。乾きの早いアクリル絵の具を使用しても、1枚を完成させるのに30分近くの時間が掛かっていた。
一得はただひたすら書いた。一枚出来て次のに取り掛かっているのでは時間が足りず、同時並行で拡張アートを塗り進めていった。
書く。書く。書く。寝食を忘れ、時にモバマスを走りながらもただひたすらに書いていった。
100枚目に取り掛かった時、一得は異変に気が付いた。
日が高らかに登っている。
一得は時計に目をやると、針は12時を示していた。
GP西表島の当日受付開始時間は8時から9時。GPは彼を置き去りにして開催をしていた。
一得は泣いた。そして100枚の拡張アートを完成させるとGPの会場へと足を運んだ。
その後、サイドイベントのカオスドラフトで彼の姿を見たものはこういった。
「びっくりしましたよ。パックから精神を刻むもの、ジェイスと遍歴の騎士、エルズペス。それに解放された者、カーンを出してるのに、今にも泣きそうな顔をしているんですよ。あんな人初めて見ました」
彼がこの時作成したトークンの行方は誰も知らない。
Force of human 番外編 その1 完
コメント
大丈夫、マルチカラーの人間力は怖いものではありませんよ(ニコ